2章 基本技術編(続き)



2.3 LANのアクセス方式

 LANの通信路に乗り込むための方法、すなわち誰がLANを使うかを決める三つの方法を 紹介します。

(1) CSMA/CD方式

 CSMA/CD方式は、Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionの略ですが、 日本語では「搬送波感知多重アクセス/衝突検出方式」と訳されています。この方式では、 通信したいデータがある時、ネットワークが通信可能かどうか確認することから始まります。 同時に通信を始めた端末が無ければそのまま送信します。しかし別に送信を始めた端末があれば、 衝突することになります。衝突を検知すると、それぞれ一定時間待って再送信します。
 例としてCSMA/CD方式LANである10BASE5のデータ送信の原理を示します。


(2) トークンパッシング方式

 トークンパッシング方式では、「トークン」と呼ばれる小さなパケットが、ネットワーク上を 巡回します。トークンにはフリーとビジーの2つの状態があり、それぞれフリートークン、 ビジートークンと呼びます。送信時はフリートークンを掴み、それをビジートークンに変え、 その後に送受信アドレスや送信すべきデータを付加して送出することになります。 一方ビジートークンを受信した端末は受信アドレスを調べ、それが自分宛の場合は、 データを受領します。
 トークンパッシング方式には、実現例としてバス型に適用したトークンバス、 リング型に適用したトークンリング、FDDI等があります。例としてトークンリング方式 でのデータ伝送の原理を示します。


(3) TDMA方式

 TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多重通信)方式は、時間を細かく分け、 細かく分けた単位に、誰と誰とが使うか、対応づけて通信する方式です。
 PBX等の音声交換機等に使われる方式ですが、データ通信が中心のLANにはあまり利用され ていません。