3章 アドレス体系




3.1 MACアドレス

 MAC(Media Access Control)
MACアドレス

3.2 IPアドレス

 インターネットでは、TCP/IPというプロトコル(通信手順)に従って通信が行われています。 このTCP/IPで通信を行うコンピュータには、すべて個別の識別番号がなければなりません。 これがIPアドレスです。
 人間の目でわかるように、IPアドレスの表記は、(138.243.12.5)のように、4個の10進数で 表されます。最初の1バイトをみてクラスを判定し、どこまでがネットワークアドレスで、 どこからがホストアドレスかがわかります。

IPアドレス

 IPアドレスは32ビット(4バイト)で表されます。ネットワークの規模に応じて3つのクラスに 分けられます。クラスAは上位1バイトが、Bは2バイトが、Cは3バイトがネットワークアドレス として割り当てられ、残りの下位バイトがホストアドレスとして割り当てられます。
 手紙の宛名に例えますと、ネットワークアドレスが住所、ホストアドレスが名前に相当します。




・サブネットワーク・アドレッシング

  現在IPアドレスは不足の状況にあり、必要とする数だけNIC から取得できない場合があります。 例えば、現在使用しているTCP/IP ネットワークを会社の組織変更の為、ネットワークを分割する必要が生じてきた場合、 サブネット・アドレスという考え方で対処する事ができます。
これは、ネットワーク・アドレスとホスト・アドレスで構成される32ビットのIPアドレスの機能を拡張したもので、 サブネット・マスク(各クラスごとに決められているホスト・アドレスのビットをサブネットに分割する機能)により、 IPアドレスのホスト・アドレス部分を更に2分割することができます(クラスAなら24ビット、クラスBなら16ビット、クラスCなら8ビット)
この2分割した一方の部分を物理的なサブネット(サブネット・アドレス)として識別し、他の部分をそのサブネット内のホスト・アドレスとして識別します。


サブネット・マスクによるホスト・アドレスの分割
 


図に示すように、サブネット・マスクをビット表現した場合、「1」の部分がネットワーク・アドレスとサブネット・アドレス分のビット数になり、 残り「0」の部分がホスト・アドレス分のビット数となります。このように、サブネット・アドレッシングにより、単独のIPアドレスで複数の物理ネット ワークを使用できるようになります。サブネットは、クラスD以外のどのIPアドレスでも使用できます。

CIDR (Classless Inter-Domain Routing) について

当初本講座を作成したときには、インターネットの32ビットアドレス空間は、クラスA、クラスB、 そしてクラスCの3つの ネツトワーククラスに分割されていた。クラスAのネットワークでは、IP アドレスの最初のオクテット(最初の8ビット)で ネットワークが識別され、残りのビットは、その 組織によってネットワーク上の異なるホストに割り当てられていた。ほとんどの場合、クラスAの ネットワークを持つ組織は、アドレッシング方式に新たな階層レベルを設けて、そのネットワー クを更に複数のサブネットワーク(サブネット)に分割していた。クラスBのネットワークでは、2オ クテットワークをネツトワーク識別子、他の2オクテットをホスト識別子として使用していた。クラス Cのネツトワークでは、3オクテツトをネットワーク識別子、他の1オクテットをホスト識別子としてい た。残念ながら、この大/中/小というクラス分けされたアドレスは、どの組織にもぴったりフイッ トするというわけにはいかなかった。多くの組織は、複数のクラスCアドレス(それぞれが最大で 254台のホスト)を必要とするぐらい十分大きく、1つのクラスBアドレス(最大で65,534台のホスト) に対しては少さすぎた。それにもかかわらず、こうした組織にはクラスBのネットワークがあてがわ れたため、クラスBアドレスはすぐにたりなくなってしまったのである。この問題を解決し、どの組織 にも適切なサイズのネットワークを提供できるように、Classless Inter−Domain Routing  (CIDR:サイダー)が開発された。名前が示すとおり、CIDRは従来のクラスA、クラスB、クラスCと いう考え方を廃止した。CIDRでは、IPアドレスの中の1、2、または3オクテットのいずれかをネツト ワーク識別子に割り当てるのではなく、連続する任意のビット数をネットワーク識別子として利用し たのである。たとえばクラスBアドレスの約4倍のアドレス空間が必要な組織があるとする。この場合、 アドレス空間の14ビツトがネットワーク識別子に割り当てられ、残りの18ビット(4つのクラスBアドレス に相当)は自由に利用できるようになる。 当然、CIDRの登場によって、「クラス」の概念は時代 遅れとなつた(普通の会話では、まだ「クラス」はよく聞かれる言葉だが)。現在、特定のCIDRネット ワークを割り当てるには、組織に割り当てられた特定の上位ビット値(ドットつきのオクテット表記)と、 そのネットワークを識別するビツト数を指定する。この2つの値の間は、スラツシュで区切る。したがっ て15/8は、00001111というビツトパターンで始まるかつてのクラスAネットワークを表す。同じように、 クラスBのネットワーク128.32.0.0は128.32/16と表現する。ネツトワーク192.168.0.128/25は、192. 168.0.128〜192.168.0.255の128個のIPアドレスから構成される。

 









IPV6の開発

今まで、IPV4の延命策としてさまざまな方法が考えられ、一時期の危機的状況は脱したわけですが、それでも2018年の前後8年には限界が来ると予測されています。このような、背景でIPV6は登場し移行にむけての準備が現在進行中です。IPV6は、単純にアドレスの数や経路表の大きさの問題を解決するだけでなく、今後50年以上インターネツトの中核として機能できるように、次の点を考慮して設計されています。
 
・IPV4の流れを受け継ぐ
  ○基本的な動作は同じ
  ○より単純化されたプロトコル

・これまでの問題点を解決
  ○アドレス空間の解決
  ○マルチキャスト、モバイル

・運用の簡素化
  ○Plug and Play
  ○セキュリテイ

・長期間の利用が可能
  ○拡張性が高い

・IPV4からの容易な移行
 
IPアドレスが128ビットで表現され、膨大な数のノードを接続できることから、IPV6導入の効果としてよく、コンピューターだけでなく家電製品ゃ携帯電話などさまざまなものが接続できるようになることが語られています。この新しいIPが機能を開始することにより、今まで考えられなかった新しいサービスが登場しインターネットを基礎とした新しい社会を構成することになります。
 
IPV6アドレスの表記法
 
IPv6のアドレスは128ビットで構成されています。これを記述する場合16ビットずつ16進数で表記し、コロン(:)で区切って並べます。以下一例を挙げます。
 
3ffe : 0000 : 000c : ffff : 0000 : 0000 : 0000 : abcd
 
しかし、これではあまりにも長くて、どこかに設定したりあとで読んだりするのには不便です。そこで省略のルールが決められています。まず16ビツト分の16進数が”0000”ならば”0”、
”000c”ならば”c”というふうに左側に並んでいる前置きの0を省略できます。上記の例を省略形をとると次のようになります。
 
3ffe : 0 : c : ffff : 0 : 0 : 0 : abcd
 
さらに ” 0 : 0 : 0 ” のように0が続く場合にはアドレス全体で1ケ所だけ、”::”と省略することができます。上記の例は更に次のようになります。
 
3ffe : 0 : c : ffff : : abcd
 

IPv6 アドレスの構成
 
IPV6アドレスはプレフイックスとインターフェイス識別子の2つから構成されています。
     
   

  ネツトワークプレフィックス

    インターフエイス識別子

                               128ビット

プレフイックスはIPV4のネツトワークアドレスに相当するもので、次のような表記がよく用いられます。

 

プレフィックス/プレフイックス長

 

”3ffe : 5ff : 100 : aa02 / 64”

ホストが直接接続している物理的なネツトワークの事を、リンクと呼んでいます。インターフェイス識別子は、同一リンク上にあるネツトワークインターフェイスの識別に用いられるもので、リンク内で重複しないようにする必要があります。